未来の科学者にはなれない僕たちへ――”映える”材料
さて、まずはこちらの動画をみていただきたい。
ダイヤの圧倒的熱伝導率を目にすると「電気を通すものは熱もまた通す」という大原則が呼び起こされますね。余談ですが、樹脂の世界における”高熱伝導”ってのは事情を知らない人からすればサギとまではいかなくとも看板に偽りありと言われてもしょうがないみたいな気も。
さて、こちらの動画はNIMS(国立物質・材料研究機構)とユーフラテス(ピタゴラスイッチのピタゴラ装置とかつくってる人たち)がコラボした動画で、「未来の科学者たちへ」と銘打たれてる以上は門外漢の、それも中高生くらい?に向けて製作された動画のようです。
特徴ある材料の特異な性質を印象深く紹介する実験動画。
ピタゴラ装置もそうだけど、ほんとにこのユーフラテスのひとたちは見せ方がスタイリッシュ。(あえて)朴訥としたナレーションによって、目の前で繰り広げられる現象の鮮烈さを際立たせる。逆に民法バラエティみたいな煽りまくりのナレーションだとそこまで埋没できないだろう。
僕も中高生の時分に『金枝篇』とかではなく、こういうものと出会っていたら違った未来もあったかもしれない(まあ、いま材料メーカーにいるからこそこういうものに食いついているというところもあるわけで論点先取の虚偽といえばそうなる)
この映像との接点は何ヶ月か前に本屋に立ち寄った際に材料科学系の棚のところでたまたま目を引いた↓の本。
日頃から材料を提案するという立場の人間なので、こういう本は大好きで。ちょうど子供もピタゴラスイッチにドハマリしていたのでいいかなと思って購入。
https://honto.jp/netstore/pd-book_30025887.html
材料メーカーの人だったら掛け値なしに楽しめること請け合いだし、そうでなくともおもしろ科学実験+αのものとして見応えは十分。子供に見せれば教育的効果というか、理科が物理化学への関心を喚起させる効果も期待できるだろう。
実際に特性の活かし方が明確(用途が固まっているよう)な材料はその限りではないですが、「こんな変わった材料できたんですけど、なんかに使えませんかね?」的なアプローチの時(出口のみつからない新素材ってのは材料メーカーではわりとこういうのよくある…)には、特性をデータで示したりするよりも、こういう人の心をなんとなくワクワクさせながら考えさせるアプローチが楽しいかななどと思いました。
まあ見せ方もあるでしょうが、ここまで映像”映え”するような特性があるものって珍しいでしょうが。