急がばしゃがめ

コンクリートジャングルで合成樹脂のささやきに耳を澄ませては目を回す。人文系だけど高分子材料でご飯食べてます。。SF読んだり、ボードゲームに遊ばれたり。一児の父。

裏世界ピクニック

みなさん、ネットロア、特にネット怪談はお好きですか?くねくねとか八尺様とか。

僕はそういうのさっぱりだしどっちかって言うと苦手です…

 

それでも、このネット怪談を題材にした小説「裏世界ピクニック」は気づけば4巻まで読んでいたのでなんとなく書き残しておくことにする。

 

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「裏世界ピクニック」は宮澤伊織による小説。

この宮澤伊織は「百合が俺を人間にしてくれた」という怪文書もといインタビューで界隈?では知られる作家。

https://www.hayakawabooks.com/n/n0b70a085dfe0

(ちなみにバーチャルワオキツネザルとしてVtuberもやってたりしていてカオス。)

 

裏世界ピクニックはネット怪談×百合を主題とした冒険小説。

主人公である空魚がある日ネット怪談が具現化したかのような意味不明な世界”裏世界”へ迷い込み、そこで出会った美少女・紙子とその裏世界と現実を行ったり来たりしながら冒険していくって話。

僕は2019年2月号こと百合特集号を契機に旬な百合SFを読もうと1巻から3巻を一気読みした次第。同時期に同じ動機で読んだ草野原々『最後にして最初のアイドル』と比べればクセが強くなくて”ちゃんとした小説”という印象ではあったのだけれど、どうしてもネット怪談や都市伝説の類をベースとした裏世界の摩訶不思議な諸現象が不可解かつ理不尽、そしてグロいというところで、このシリーズはもう追わなくてもいいかなとさえ思っていた(とはいえ3巻まで一気に読んだという事実は間違いなくおもしろかったということではあるのだけれど)。

 

そうこうしているうちに、昨年末くらいに4巻が出たり、今年に入ってアニメ化が発表されたりしてもなんとなく静観していた。

が、このコロナ禍で本屋にそうそういけないとなったので家ごもりのため、『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』(小川一水の新作宇宙漁業百合SF)他と合わせて購入。

アニメ化発表時にメイン2人のCVが発表されていて、空魚のCV花守ゆみり、紙子のCV茅野愛衣であるということでキャラのイメージとともに百合アニメ的文脈もふまえたよい人選だなと感じ入った次第。

最新4巻に至っては、CV花守ゆみりの主人公がピクニックどころかテント設営してキャンプまでするので実質ゆるキャンである(これアニメ放映時に死ぬほど言われそうなのでいまのうちに言っておく)。

 

4巻では物語が色んな意味で進展するわけですが、アニメはここまでやるだろうな、ということを確信した次第。

 

裏世界ピクニックは百合SFと銘打たれている割にSF的要素が薄い(少なくとも全面には出てこない)。裏世界におけるネット怪談を反映した怪現象についての考察みたいなものは出てくるが、いまのところ理論とか体系だったものが見えてこない。ここも僕がしっくりこないところかな。

ここもというのはもうひとつ気になるのは百合描写ですかね。。。

僕は機龍警察とか機忍兵零牙(いずれも月村了衛作品)における「巨大不明感情」をこじらせにこじられせる感じの百合はいけるんですが……あとはきらら系のゆるいやつですね、軟弱者なんで。

 

どこまで裏世界ピクニックが続くのか、そして僕はどこまでついていけるのかはわかりませんが、アニメはみるでしょうし、これがそこそこ売れてハヤカワSFのアニメ化が続けばうれしいな、と。