トライボロジーの”トライ”ってなんなのか
聞いたことある人もいればない人もいるかとおもいます。
辞書的な定義としては、「相対運動しながら影響を及ぼし合う2つの表面の間に生じる現象に関する科学や技術」ということになります。
もう少し噛み砕くと、「摩擦」や「摩耗」、「潤滑」に関する科学・技術ってことですね。
この「トライボロジー」ってのは工学というか産業界においてとても重要。エネルギー効率に直結するから。
学問としての出自は1966年にイギリスで提唱されたというから意外と若いというか。
純粋な学問というよりは常に産業利用・応用を前提とした分野なんだろうなと。
僕もよくわかんないなりにちょろっとググってみるといろんなページがヒットしますが、日本トライボロジー学会はじめ各所では「トライボロジーはギリシャ語/ラテン語のtribo=摩擦するに由来する」ってことが書かれています(言わずもがなですが、logyは学問を意味する接尾辞ですね)。
僕はてっきり、トライtryってのはラテン語の3で、摩擦、摩耗、潤滑というトライボロジーの3要素のことを指しているとか思っていたのですが、どうもそうではないみたい。
しかしまあここで気になってくるのは、ではなぜtribos=摩擦するなのか。
こちらの文献には上記の通り一遍の語源に加え、もう少し踏み込んだ情報がある。
https://www.kuicr.kyoto-u.ac.jp/dbooks/Obaku27/_SWF_Window.html?pagecode=8
「人類は、紀元前において牛や羊の腸の油を潤滑剤として利用していたといわれています」
つまり、ギリシャ語/ラテン語において牛=bosであることから強引に解釈すると古代人が摩擦する2つの表面+潤滑剤(bos)の3つでtribos…ということなのか…
しかしまあtribosはあくまでも摩擦という意味のようだし、摩擦と潤滑ではイコールでは結べないわけで…
トライボロジーそのものの奥深さもさることながら、その手前の語源という人文的なところでひっかかっている次第。これはギリシャ語なりラテン語なりに詳しい人に聞けばすっきり解明するものなのでしょうか。
学生の頃には研究室にはユダヤ教研究が専門の先生もいたのですが、いまいち興味もてなかったのですが、おもいがけずこういうところで出会ったりするものですね。。
職務としてトライボロジーについて追求しなければならない宿命にあるので、ひっそりと人文方面での探求もやっていきたいと思います。