急がばしゃがめ

コンクリートジャングルで合成樹脂のささやきに耳を澄ませては目を回す。人文系だけど高分子材料でご飯食べてます。。SF読んだり、ボードゲームに遊ばれたり。一児の父。

きかんしゃトーマスの2D化におもう

きかんしゃトーマスについて書いて半年。

我が子は変わらずトーマスを熱心にみています。

 僕もなんだかんだでみています。

 

meirin213.hatenablog.com

 

さて、そんなみんな大好ききかんしゃトーマスですが、公式から驚くべきアナウンスが…

なんと次期(2021年秋)の新シリーズ(25期)からはデザインを一新し、以下のような2Dアニメに切り替わるのだという。

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そもそも、僕も子供ができるまではもう10年以上前からトーマスがあの馴染み深いミニチュア撮影から3DCGに変わっていたことさえ知らなかったのですが…

リアル路線から一転して切り替えてきたわけですね。

 

Twitter界隈でのこのトピックへの反響をみていると、年季の入ってそうなトーマスファン(!?)がわりと暴れていておやおや…という気持ちになりました。

 

率直に言って、僕もこの2D化はデザイン的にどうなんだと思いますが、版元の判断(そして、それは基本的にこのトーマスというコンテンツを継続していくための戦略に基づくものなのでしょうが)ということであればそれは尊重すべきというかそれを往年のファンがとやかく言ってもねえという感じですね。

僕としてはトーマスに「大きなお友だち」がいるということ自体が新鮮な驚きというか発見だったんですが、トーマスというかキッズ向けコンテンツというのは常に「今の」キッズに向けて新しくつくられているものですから、それが合わないと感じたらそれは自分がそのコンテンツを卒業するときだ、というだけのことだとおもうんですが、どうしてオタクというものはことごとく「こうあるべき」などという主張をそこら中に振りかざさずにはいられないのか…未だに15年前のドラえもんの声優交代を叩いている人がいるとかいないとかいう与太話もありますが。。。

とはいえかくいう僕も自分の熱の入れ込みのあるコンテンツがこのような血迷った暴挙に出た時に冷静に受け入れるなりおとなしく見限るなりができるのか…

 

佐々木中の『切り取れ、あの祈る手を』では宗教改革で知られるルターが実際に聖書を読んだ時にカトリック教会の教えと聖書に実際に書かれている内容とのギャップに「狂っているのは世界(教会)なのか、それともこの私なのか」と苦悩した(そしてそれこそが<革命>の源泉であるのだ)と書いているのを思い出しました。

 

つまるところ、純然たる狂気/暴挙と正答な革命なるものを客観的な基準によって分別することはできるのか、と。まあそういう線引にあまり意味はないとも言えると思いますが。

まあでも僕としてはこのトーマス版元(マテル社)もなにもトーマスというコンテンツを終わらせるためにこのような手を打っているわけではなく、トーマスというコンテンツを延命ないしジリ貧から脱するために大胆な路線転換を図っているのでしょう。

絵柄的に対象年齢をさらに下げていく方向だと思います。ある意味鉄道としてのリアルさを放棄することはそこにこだわるようなめんどくさい”大友”を振り落としてよりコアなターゲットであるキッズへフォーカスしていくという点では妥当なアプローチな気もします。

 

トーマスってそもそも3DCG化した当初はミニチュア/人形劇では制作コストが嵩むことや一部原作絵本の内容を模型では再現し難いという課題から3DCGにシフトしたのだとされています。

確かにアニメーションにおいては3DCGはひとたびモデルを作り込んでしまえばあとはそれらを動かすだけなので比較的少ない手間で制作ができる、という利点があるわけで。

3DCGか当初は一定の成功を収めたのでしょうが、このような長期シリーズにありがちな問題としてどうしてもマンネリ化する問題がある。そういうわけかなんなのかはわかりませんが、最近のトーマスはめちゃくちゃキャラが多い。1つの島にこれだけの機関車、それも特殊車両がいるのかというソドー島メンバーもそうだけど、直近のシリーズでやっている各国をめぐるシリーズでは中国、インド、オーストラリア、ブラジルをトーマスが旅しながら現地の機関車たちと交流するというのをやっていて現地の機関車が数車両あって、そこに風景とか人物とか、要するに使いまわしできない要素がガッツリのかってきてるわけで。これはアニメーション制作の負荷が高いだろうな。こんなにポンポンだしてどうするのというのは僕ですら感じていたくらい。

自分で自分の首を締めているようにもみえるわけですが、結局はグローバル資本主義のなかでコンテンツが生き残るための生存戦略というか、差異化しつづけるしかないということなんでしょう。

因果なものです。

 

それにしてもこの2D化の話をみて最初に思ったのはプラレールとか模型系のおもちゃはどうすんのかな、と。リアル路線の3DCGとは馴染みよかったでしょうが、2Dキャラのプラレールとかなかなか模型かしにくそうだしそもそも模型の購買意欲が上がらなそうな…ドイツとかは鉄道模型文化あると聞いたことありますが、トーマス本場の英国や米国ではあまり鉄道模型系おもちゃの市場規模はたいしたことないのか?あくまでも映像コンテンツとして戦っていく(そもそもそうして戦ってきた?)ということなのか。どうする?タカラトミー