あけおめなるままに/SFと百合/SFマガジン百合特集 特別増大号
2021年あけましておめでとうございます。
新年一冊目はSFマガジンの百合特集号。
https://honto.jp/netstore/pd-magazine_30744614.html?optprm=nsPrdLink#stReserve01
※増刷してるとは聞きましたが、一時品切れ中みたいですね。
SFマガジンの百合特集といえば、ちょうど2年目にSFマガジン始まって以来の増刷(それも3刷!)までいったという化け物企画。その盛り上がりを受けて編まれた百合SFアンソロジーはたいへんによかった。ソ連百合とか「色のない緑」とか。
そして、百合SF界隈の盛り上がりもあって、都市伝説(ネットロア)×百合SFの『裏世界ピクニック』の1月からのTVアニメ放送開始に合わせての百合特集第2弾はページを増量した特別増大号となった次第。それにしても、早川は百合特集もそうだけど、裏世界ピクニックに関してはかなりの”これかけ”案件ですね。そもそも早川作品のアニメ化
って劇場アニメは伊藤計劃三部作が記憶に新しいところだけれど、TVアニメというのは少なくとも近年はないのでは?(SF読みとしてもアニオタとしても中途半端な僕の見識の範囲内なのでアレですが)戦闘妖精雪風もOVAみたいだし(見てないけど)、正解するカドとか
個人的には裏世界ピクニック自体は2年前の百合特集を読んだ勢いでもって3巻まで読んで正直あまり肌に合わないな…と思って気持ちが遠のいていたんですが、ミーハーな性質なものでアニメ化の報を、というよりも主役二人が花守ゆみり×茅野愛衣と聞くや、すっと続巻を買いにいったという…
ともあれ、早川のSF作品のアニメ化が当たれば次の話もあろうかという期待を以て応援しているというか、単に波が来るなら乗っておこうという気持ちであるとも。
それはさておき、百合特集にふれてここまで書いておいてなんですが、僕自身は「百合」というジャンルにさして思い入れとか熱とかはあまりなくて。
もちろん好きな作品の中には「百合」とカテゴライズされなくもないものも少なからずあるわけですが、ゴリゴリに「百合を書きます」と言われてゴリゴリにおされると冷めてしまうというかひいてしまうほうで。関係性の物語としてその射程がたまたま女性同士だったというレベルでいいのでは、と。百合というものに他の関係性にはない特権的なものを見出すことは難しいと思うんですよね。
ましてやジェンダー観の”進歩”というかふつうにリベラルな感覚が世に浸透していく中で、あえて百合でなければならないものを書く、描くということはどんどん難しくなっていくのだろうな、と。
というのは、SFというジャンルがテクノロジーの発展や社会変化によって、SF的想像力・創造力が「時代に追いつかれる」「追いつかれた」「追い抜かれた」と言われたりするように、百合というジャンル・概念もその根幹を脅かされているのかな、と。
そう考えれば、SFがそうであるようにある種現代社会にその実存を突かれている状況のほうがジャンルなり界隈は盛り上がったりするものなのかな、と。
というわけで2021年もぬるっとはじめましたが、今年もよろしくおねがいします。