急がばしゃがめ

コンクリートジャングルで合成樹脂のささやきに耳を澄ませては目を回す。人文系だけど高分子材料でご飯食べてます。。SF読んだり、ボードゲームに遊ばれたり。一児の父。

ウイングスパン攻略の基本~鳥カード5強~

最近Steamでよく遊んでいる大人気ボードゲーム/ウイングスパンについて、攻略というかプレイのコツというか。

 

遊べば遊ぶほどに決まった勝ち方がないことを痛感するこのゲーム。いかに場に応じて、流れに沿って最善手を打っていくか、ということに尽きるんですが、それでも定石とまではいえなくともどのような形が強いか、どのような状態を目指すべきか、という

戦略の骨子の部分について言及している攻略記事があまりないようでしたので備忘録もかねてこちらに書きます。

 

まず、戦略云々の前に、ウイングスパン(基本)には(こう言っては身も蓋もないですが、)これを序盤に、ましてや初期手札で引いてしまえればほぼ勝ちは手中に収まったと言っても過言ではないくらいの強カードが存在します。

(そうは言ってもそれだけで勝敗が決まるほどの単純なゲームであればここまで人気がでるはずもなく、この辺の奥深さは遊べば遊ぶほどに染み入るように味わえますので安心して繰り返しプレイいただければ)

「カラスが強い」というのはよく言われますが、他に抜きん出た強さを有するのはカラスだけに限りません。ずばり、ワタリガラス、シロエリガラス、フタオビチドリ、アメリカズグロガモメ、アメリカオシの”5強”です。

この5強カードがなぜ別格に強いかを読み解いていくことが、ウイングスパンにおける戦略すなわち安定したプレイングとして目指すべき姿が見えてきます。

 

 

1.ウイングスパン界の5強 

まずは”カラス”から。

 

ワタリガラス

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ワタリガラス

・シロエリガラス

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シロエリガラス

言わずと知れた強カード。拡張第2弾(オセアニア拡張・大洋の翼)では公式にバリアントとしてこの2枚を抜くとする旨の記載も(これにはオセアニア拡張での追加要素=蜜の影響もありますが)。

もはや解説不要かもしれませんが、このカラスたちの起動時能力は「卵を1個消費することで任意のエサを共通在庫から2個獲得できる」というもの。つまり、草原にこのカードをプレイすることで卵を得ながら、(本来は森林へ行かないと獲得できない)エサを2個も取れる、という。つまり、こいつさえ出せば基本的にほぼ森林アクションを打つ必要がなくなる。

任意、それで2個というのも十分強いですが、共通在庫からというのも地味に強いですね。ウイングスパンではエサ箱にほしいエサがない状況というのが往々にして生じてしまうのでその影響を受けないというのは安定感が出ます。

強いて欠点を挙げるならばエサコストが重い(ネズミ+任意2個)のと巣が平型(4種の巣で最も活躍機会が少ない)であることくらいか。エサコストの重さについてはそうはいってもプレイ後のアドバンテージが大きいので入手時点で森林がそれほど育っていないのであれば早々にエサを溜め込んでプレイすべきだろう。とはいえ、重いエサコストに対し勝利点が4-5点とそこまでかつ能力の度に卵=1勝利点を消費してしまうことを考慮してしまうとせいぜい2ラウンド目中には出しておきたい…逆を言うと3ラウンド以降にプレイしていては”間に合わない”公算が高いので入手してもプレイを見送るべきとも言える(もちろんコンボの状況によっては3ラウンド冒頭くらいまでは引っ張れるのかな、と。草原に(麦消費で2枚埋め込みができる)カナダガン、カナダヅルを揃えてるとかで草原に通い詰めるだけ体制が整っているとか。)。

ちなみにこいつら”大ガラス”に対し、ウオガラス、アメリカガラスというこれと同じ能力で獲得できるエサが1個という劣化版もとい”小ガラス”のカードもあります。攻略記事によってはこいつも強いから無条件にプレイすべし!と書いてあるのもありますが、私見ではこのウオ&アメリカの小ガラスは弱い。圧倒的に火力が足りない。強カードどころか寧ろ出すべきではない足引っ張る系カード。よっぽどラウンドボーナス(平型の巣)とか個人ボーナス(雑食とか)に絡まない限り出すべきでないかと。

 

・フタオビチドリ

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フタオビチドリ

アメリカズグロカモメ

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アメリカズグロカモメ

続いてはこの2枚。大ガラスと同じく卵を1個消費することで鳥カードを2枚獲得できる、という能力。これまた大ガラスと同様に草原にプレイすることで今度は森林ではなく水辺にいかなくても済むというこれまた強カード。カラスに比べてコストが低い点もエンジンの起点とするという点でもポイント高いですね。

カラスの強さばかりが注目されがちですが、個人的にはこちらのほうが好きです。鳥カードをひく機会が増えればそれだけ安定性が増す(確率を平準化できる)わけで。

あとは、カラスは他のプレイヤーがこぞってエサばらまきプレイ(エンビタイランチョウみたいに全員にエサを配る系やアンナハチドリみたいに全員が順番にエサ箱から取る能力とか)を多用した場合にその強さが薄められてしまいますが、フタオビとかの鳥カード獲得についてはそのような状況が起こりにくい(全員が鳥カードを山から引く能力もありますが、カード枚数自体がエサよりもだいぶ少ない)というのもありますね。とはいえ、出すコストの安さが入手からプレイまでのダウンタイムが少ない=活躍機会が多いというのが地味に重要かもしれません。

 

アメリカオシ

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アメリカオシ

5枚目はこちら。他の4枚に比べればあまり強いという声を聞かないのですが、能力自体は「2枚鳥カード引いて手番終了時に1枚捨てる」という水辺の鳥としては他にもいくつかある能力ですが、このアメリカオシが強い所以はその能力を森林に配置した上で使用できる、という点。
森林アクションでエサを獲得しながら鳥カードを2枚から厳選しながら取っていけるのでこれもまた強いですね。水辺を育てることなく森林、草原に特化できる。

カラスやフタオビのような派手さはないですが、こいつは最大の得点源である草原のスロットを食わずにエンジンが組めるというのが地味に強い点。カラスとかだと終盤になると草原の火力(得点能力)が心許なくなりがちですが、アメリカオシは草原を回すことよりも得点源により特化する形で育てられるというところ。伏兵感はありますが、十分に上記4枚と肩を並べられるレベルの強カードです。

 

 2.5強の先… 

これら5強カードはそれぞれシンプルに強い能力なのですが、もう少しその強さの本質に踏み込んでみましょう。

それにはウイングスパンというゲームの全体を捉え直す必要があります。

ウイングスパンには森林・草原・水辺の3つのレーンがあり、各レーンにおけるアクションはそれぞれエサ・卵・鳥カードが対応しています。そして、そのアクションは単純にそのレーンに鳥カードをプレイするほどに強化されていくわけです(いわゆる拡大再生産とかエンジンビルドとかいうやつですね)。なので、あるレーンに特化していけば勝利点が伸びる…かというとそう単純なものでもなく、鳥カードをコンスタントにプレイしていく(”場を回す”)には「エサ・卵・鳥カード」の3要素が必要である以上、3レーンすべてをある程度万遍なく強化しないわけにはいかない。しかしながらそうしてしまうと各レーンの戦力は分散してしまいなかなか強力なアクションを打てない…これがウイングスパンの基本的なジレンマ構造になっています。

しかしながら、これらの5強としたカードは起動時能力によって、1つのレーンのアクションでもう1つのレーンのアクションを兼ねることができるので、2つのレーンに絞って鳥カードをプレイしていける。あるいはもう1つのレーンを、最終的に勝利点を伸ばすには欲しいけれど、起動時能力がつかないのでよくアクションを打つレーンに置くのは惜しいカード(素点が高かったり、プレイ時能力でボーナスが引けたり、ピンクの能力(リアクション))の置き場として最適だったりする。

 つまるところウイングスパンにおいては基本的に1箇所アクションしに行かなくてもいいレーンをつくる、ということが勝ちにつながるわけです。

しかしながら、そのような状態をつくるのに何枚もカードを使ってしまうと、そのレーンの得点力が落ちてしまったりするのでそれはそれで考えもの。つまるところ、1枚でそれができてしまうこれら5強が段違いに強いという結論になるわけです。

 

他にも細かい勝ち筋のポイントはありますが、これを理想形として進めていくのがいいわけです。しかしながら往々にしてこのような理想形はなかなか実現しないからこそ理想形なわけで。しょっぱい初期手札なり場札なりのなかでいかにうまく得点を伸ばすかの創意工夫をこらすことこそがこのウイングスパンという醍醐味ともいえるわけで。また気が向いたときに”5強”に頼らないというか頼れないときにどう得点を伸ばすか、粘るかについて書ければと思います。