急がばしゃがめ

コンクリートジャングルで合成樹脂のささやきに耳を澄ませては目を回す。人文系だけど高分子材料でご飯食べてます。。SF読んだり、ボードゲームに遊ばれたり。一児の父。

政治家が言う「自助、共助、公助」とはつまり…

ひとの発言を理解するのはその文脈を捉える必要がある。

 

例えば防災の専門家が「自助、共助、公助」というとき、それは「災害時は基本的に公助すなわち行政のことはあてにならないので、共助=地域社会での助け合いなり、自助=各ご家庭における日頃の備えが大事ですよ」という意図をもった言葉になる。

 

ところが、その発言が政治家、それも次期首相がほぼ確定といっていい人物の、自民党総裁選出馬表明記者会見における「国の基本」であるとして発されたものであったらどうだろうか。

それはこのように解されるべきであるだろう。

「本来、公助を担う行政ないし政治はこれから市民、国民に対する行政サービスをゴリゴリ削っていくので、あとは自助なり共助でなんとかしてよろしく。仮に困窮したり生活に行き詰まる人がいたとしてもそれはその人の”自己責任”ってことなので政治のせいじゃないです」

という宣言として解されるものです。

 

本来、政治というのは自助(個人や家庭レベル)なり共助(地域社会や会社などの共同体レベル)では行き届かないものないしは回らないものをなんとかするためにあるのが公助すなわち政治なり行政なわけで。

つまり、公助を担うべく政治家でありこれから行政府の長である首相にもなろうかという人物が初っ端での言葉がこれだというのはとんでもないヤバさがある。

菅というのは官房長官の時点で「批判はあたらない」の一点張りでその中身のなさを露呈していましたが、安倍とはまた違う形での愚かしさをご披露してくれたものだな、と。ほんとにヤバさしかない。

 

そして、この菅発言を無理やり擁護している飼いならされた自民党政権の”臣民”たちがいるわけで。彼らは政治家なり官僚なりの緊縮財政論に完全に毒されてしまっているので、行政サービスを少しでも増やそうものなら日本政府は財政破綻するとでも思っているらしい。そういって、自称現実主義者が消費増税を支持し、実際に消費税10%になった結果はどうなっただろうか。社会福祉はよくなっているだろうか。生活はなにか改善しただろうか。

そもそも、われわれが共感したり同じ立場に立つべきは為政者や(大企業の)経営者や富裕層ではなく、ちょっとした不幸が重なればいつ何時生活が困窮しかねないあるいは不幸にもそうなってしまった庶民の側であるだろう。

このコロナ禍で安倍以上の不適格な政治的リーダーはいないだろうと思っていましたが、首相就任前からこのザマでは先が思いやられるというか希望がなさすぎる。菅は「パンケーキおじさん」なり「令和おじさん」なりで庶民派としてアピールしているようだが、それも他におすべきところがない絶望的無能虚無おじさんだからでしかないということの裏返しでもある。だいたい自民党総裁選なぞゴミの中から少しでもマシなゴミを選ぶ選挙(そもそも選挙一般がそういうものだといえるが)だが、昭和ジェンダー観写真がイメージアップになると勘違している岸田(「分断から強調へ」「格差是正」という方向性はいいとは思うが)といい、保守政治家としてはまっとうな部類だけども、根底にはテレビで「戦争に行かなければ死刑」と発言しちゃうような狂人である石破といいほんとうにろくでもない連中ばかり。

 

自民党総裁選の陰にすっかり隠れてしまったが、立憲民主と国民民主の合流新党の代表戦も党員やサポーター投票なしでやることが決まっている。民主主義とはなんなのか。どこまでも期待を裏切り続けてくれる政党である。

 

改めてヤバいな、日本。