急がばしゃがめ

コンクリートジャングルで合成樹脂のささやきに耳を澄ませては目を回す。人文系だけど高分子材料でご飯食べてます。。SF読んだり、ボードゲームに遊ばれたり。一児の父。

「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」と思っていたけどそうでもなかった

最近話題の新書、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅香帆)を読みました。

本のレビューは後で書くとして、本好きを自負する人間ならば「わかる」とばかりに思わず手にとってしまうタイトルではなかろうか。

www.shueisha.co.jp

かく言う僕も自分の読書記録をブクログで振り返ってみると…

booklog.jp

ちゃんとログを残しているらしい2014年以降で読了数はこんな感じ。

 

2014年:48冊 

2015年:31冊 

2016年:36冊 

2017年:33冊

2018年:45冊 

2019年:72冊 

2020年:75冊 

2021年:121冊

2022年:52冊

2023年:75冊

2024年(1~4月):60冊

 

若い頃は思っていたほど読んでいない… そして2019年後半~21年末までは緩い職場(原則定時退社)だったので優位に読書量が増加。2022年はハードワークに回帰し読書数は減少。。しかしながら、ここに来て、特に2024年にはいってからの読書の急激なペースアップたるや…自分でもびっくりするくらい本を読んでいる。

今野敏『隠蔽捜査』や大沢在昌新宿鮫』といった面白いシリーズものに出くわしたというのもあるけれど(月村先生がPodcastで言及していて読み始めたら見事にハマった)、物理的には生活の中で「本を読むタイミング」が固定化されたことが大きいと思います。

 

1.通勤・移動時間

通勤電車を明確に本を読む時間と位置づけ黙々と読書。

去年まではトータルの通勤時間が短くなるので会社にほど近い路線の駅まで自転車で通っていたのですが、昨年冬からは寒くて自転車に乗れなくなったのがきっかけですが、家の最寄駅の路線で通っています。すると電車&徒歩時間が伸びはするけれど、その間に従来よりも本が読める!と暖かくなっても続けています。

あとは仕事がら、電車での長距離移動も多いのでその間にだらだらと読めるというのも大きいですし。

 

2.入浴時

湯船にゆったり浸かりながら読書する。もともと長湯する習慣はなかったのですが、数年前から読書しながら風呂入れば一石二鳥じゃない!?と気づいてから継続しています。時々退屈な本だとうとうとして取り落とすこともあるので、これは買って読む派ならではの選択肢かと思います。

 

3.寝かしつけ時

わが家では子どもが寝るときに親も隣で寝るのですが、数ヶ月前から子どもが寝る前に本を読むブームが到来。ここぞとばかりに自分も横で本を読んでいます。なんやかや20分くらい?。ほぼほぼ習慣化しており地味に読書時間を稼いでいます。

 

そんなこんなで本は読んでいます。

一応本書に対するレビューも書いていたので載せておきます。

 

レビュー:

三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』読了。

映画『花束みたいな恋をした』の主役の青年の「パズドラはできるのに読書できない」という身につまされる状態を問いとして、明治からの読書と労働との関わりに俯瞰しながら迫っていく。

もはやハイソな趣味となりつつある現代、読書は文化的なものとして位置付けられがちだが、今で言う自己啓発的的なモチベーション(「修養」「教養」)によって読書が普及、定着してきたのだという指摘がおもしろかった。

そしてその潮流の労働による自己実現路線によって新自由主義を内面化することで全人格的労働に回収された現代人の「全身全霊」の労働から身を引き、「半身」での趣味としての文化的なものとの接触としての広義の読書を取り戻そうという提言。労働者でありながら読書人としては穏当な着地であり、所々差し込まれる新自由主義が強すぎる社会への抵抗含め大枠では大いに賛同するところではある。

しかしながら読書の意義を内面化された新自由主義が排除しようとする「ノイズ」たるところの読書を勧めるにあたって、殊更にノイズに思えるものもゆくゆくは巡り巡って「役に立つ」という風に立論しているところには違和感を拭えない。それは結局自らが批判している新自由主義と同根ではないか。著書は私より5,6年下の世代なのだけれどもそれは著者固有というよりはこの世代の深く染み付いたものに思える。

 

などと働きながらも読書量を確保できているのをいいことに偉そうなこともを書き連ねてみたものの、余暇時間、文化的な活動という点ではかつてはそれなりに費やしていた趣味の文章を書くというアウトプットが圧倒的に不足している…これでいいのかと思い久々にこちらのブログを書いてみた次第。あれやこれや書きたい、書いておきたいことはあるのでぼちぼち。