ぷらすちっくな言語SPEIL -人文学、ボードゲーム、合成樹脂-

コンクリートジャングルで合成樹脂のささやきに耳を澄ませるさらりーまん。ボードゲームとSFを好みます。

アズールとサグラダ インスタ映えするボードゲームと二大世界宗教

3月になりました。 

最近は諸般の事情でハードワークが 続いており、安易に精神的な潤い求めてしまう…ということでついついお財布の紐も緩みがち。

てなわけで、2月末に日本語版が発売されたばかりのアズールを買いました。

前評判の高さもうなずける実にいいゲーム。ビジュアル的にもサグラダ級、ゲーム性も宝石の煌き並に気に入ってます。

 

・アズール

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タイルアーティストとなって、アルハンブラ宮殿のようなアラベスク模様のタイルで宮殿を飾ろう、というコンセプトのゲーム。

プレイヤー共通の資材を所定の順で取って個人ボードに配置していく。配置の仕方によって得点の入り方が変わってくるが、終盤ほど配置の制約が多くて苦しくなってくるっていうパズル的な要素もある。

夙川おもちゃひろばの赤尾さんが、キリスト教的モチーフの「サグラダ」とイスラムの「アズール」と比較してたけど、(ユダヤ研究者である)赤尾さんでなくとも、インスタ映えする美しいコンポーネントだけでなく、上記のゲーム性含めて「サグラダ」と比較せずにはいられまい。

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ゲームデザイナーはモチーフとしてステンドグラスなりアラベスクのタイルを拝借しただけ(なつもり)だろうけど、ゲームシステムにも自ずと両宗教の思想性の違いが出ている…という論じ方ができると面白いですね。 遊戯の起源は宗教的儀礼であり云々という前段から始まるとよりそれっぽい感じが出ます。

という他愛ない話はともかく、両者はやはり建築物の装飾を題材としてるだけあってゲームを進めるほどに盤面が充実していく様は(たとえ得点が伸びなくとも)とても心地よい。これだけで遊びがいのある作品だと思える。

 

サグラダはそもそも個人ボードを各自で選択できたり、ダイスの配置箇所も各人の裁量である。また便利アイテムや得点条件も毎回変わるなど繁雑さ雑多さを積極的に盛り込んでいる印象。これはさながらキリスト教世界宗教になる過程でさまざまな習俗や信仰を取り込みながら自らの教義を確定させてきた歴史に通ずるところがある。

一方で、アズールは個人ボードは共通であり、得点の方法も一定である。プレイ感としてアブストラクト的な印象が強いと言われることも多い。どちらかというと雑多な要素を排し、できる限りシンプルさであったり普遍性を志向したゲームと言えるだろう。

また、サグラダは他プレイヤーへの干渉要素(他プレイヤーが欲しがってそうなダイスをカッティングする等)が薄い(有効性に乏しい)のに対し、アズールの場合はしばしば行き場のない同色タイルの塊というマイナス要素を押し付け合う局面が生じるし、相手に大きなマイナスを引き取らせるように仕向けることはとても重要な戦術となる。この点を以て武力を否定しなかった教祖ムハンマドに通じるところもある、とするのはいささか乱暴ではあるが(イスラムが特別好戦的な宗教というわけではなく、キリスト教も十字軍や魔女狩り等その悪行には枚挙の暇がない)。

 

まあここまで書いて安易な宗教比較は危険だと改めて思い至った次第です。

 

ゲーム性の話。

サグラダは「キラキラしたダイスをたくさん振れる。たーのしー」的な直感的な面白さもそうですが、人数が多い方が楽しめる気がする。一方、アズールは3〜4人でも面白いけどその本分は2人戦だ、という意見がしばしば見受けられる。人が増えることによる不確定要素の増大をどのように評価するかだろう。将棋やチェスのようなアブストラクト的なゲーム性を重視する(シリアスな)プレイヤーからすれば2人戦がベストとなるし、宝石の煌きのように、自分の戦略を持ちつつも、ラウンド毎の場へのサプライや他プレイヤーのインタラクティブによる変動要素にフレキシブルに対応できるかを面白がる人なら3〜4人戦の方が評価が高いだろう。まあ遊び方の幅がある、ライトなプレーヤーからシリアスなガチゲーマーまで遊べるという意味ではアズールの方が裾野が広そうか。

 

いろいろ書きましたが、アズールおもしろいのでぜひいろんな方に遊んだいただかたい、ってのと文芸評論的なノリでボードゲームをネタに話広げるのは難しいってことですね。

 

雑記

仕事のストレスに任せて最近ヘブン&エールも買ってしまったり、宮内悠介の『超動く家にて』が超よかったよという話もしたかったけどちょっと疲れました。