・お湯の熱エネルギーを一年間保存できる蓄熱セラミック
パナソニックと東大の研究者の共同研究で熱水の熱エネルギーを1年保存できる蓄熱セラミックが発見されたと。こちらの記事。
https://nazology.net/archives/64642
記事の元になった東大のプレスリリース。
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2020/6908/
まるめると、気化熱のような感じで昇温していくと相変化(たとえば液体→気体)するときに周囲から熱を奪う(吸熱)。ふつうはその逆に降温していくときの相変化で放熱するけれど、こいつはかなり極低温まで下げても相変化しない(放熱しない)。
なので、固体的状態から67℃で液体的状態へ相変化するときに周囲(ここでは熱水を想定)から奪った熱を常温でも蓄えておくことができる、と。
そして、さらにすごいことには圧力(700MPa)をくわえることで逆の相変化を起こしてこの蓄えた熱を取り出せる(放出させる)ことができる、と。
これを使ってこの蓄熱セラミックを媒介として熱エネルギーを効率的に運用できるよ、ということらしいです。将来的には工場や発電所の排熱を蓄熱セラミックにためて、セラミックを輸送(トラックで!)して、ご家庭や施設の加圧装置で湯沸かしとか暖房用に熱を取り出すことができる、とかを目指すみたいです。
パナソニックが入っている以上、エコキュート=電気式給湯器とかにかわって蓄熱セラミック給湯器とかをつくるんでしょうか。
蓄熱セラミックの加圧設備、装置とか輸送インフラとか材料屋としてはいろいろ気になるところですが、まだまだ先の長い話ですね・・・
ちなみに半年前の東大のプレスリリース。
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2019/6544/
今回のプレスリリースの元になったセラミックです。ここでは数MPaの圧力で熱エネルギーを放出するようです。これでは蓄熱した状態でもちょっとしたはずみで放熱してしまう、ということで使いみちが限られるのかなと。少なくとも上記のようなトラックで輸送というのは危なかっしいのかなと。
想定用途は自動車のクランクシャフトとかに取り付けて、エンジン運転中に蓄熱させて、コールドスタート時にかかった応力から放熱することで素早くエンジンを温めるということが想定されているようです。
もうひとつ。
工場排出CO2からパラキシレンをつくるよ~という話。
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2007/15/news055.html
パラキシレンといえばPETの原料ですね。
PETはPETボトルとかPETフィルムとか繊維にすればポリエステルですね。
バイオPETとか世の中にはありますが、LCA(ライフサイクルアセスメント)で考えればそっちよりもよりカーボンニュートラルな方向に近いんじゃないかなと。
あとはCO2回収と合成のコストなんでしょうか。
欧州ではCO2から自動車の合成燃料をつくる研究が盛んですが、メタンとかよりもパラキシレンのほうが合成が容易って感じなんでしょうか。